来年から始まる京都議定書による温室効果ガスの削減を前に、政府が地球温暖化対策の柱と位置づける二酸化炭素(CO2)の2005年の森林吸収分が目標の8割弱にしか達していないことが29日、環境省などの試算で明らかになった。
議定書の運用ルールでは、吸収による削減量として認められるには間伐、下刈りなどの管理作業が必要だが、実際には荒れたままになっている森林も多いのが実情。議定書の目標達成に向け、早急な森林管理が求められている。
国連に「補足情報」として報告したもので、議定書ルールによる森林吸収分の試算がまとまったのは初めて。
議定書の運用ルールによると、森林吸収分で二酸化炭素の「削減」とみなすことが認められている量は、二酸化炭素換算で約4767万トン。しかし、今回の試算では、「管理された森林」としてカウントできたのはわずか3750万トンで、予定値を大きく下回った。
現在、見直し作業が進んでいる議定書の「目標達成計画」も、こうした森林吸収分を最大限認められた場合を前提に計算されており、これが不足した場合は目標達成に大きな影響が出る恐れもある。
国内の森林は、管理されていないものも含めると9600万トン分の二酸化炭素を吸収する能力があると指摘されており、こうした管理されていない森林について、早急に間伐などの管理を進め、目標値を達成する必要があるという。
また、同省は2005年度の温室効果ガス排出量の確定値も合わせて公表。これによると、国内の総排出量は前年度より0・2%多い約13億6000万トン(二酸化炭素換算)で、京都議定書の目標値を13・8%上回っていることが分かった。同省では、ここから森林吸収分として3・8%、途上国への技術協力などによる削減分として1・6%を差し引き、8・4%分の削減対策がさらに必要になると計算している。
(2007年5月30日1時25分 読売新聞)
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