東京湾・三番瀬の千葉県市川市や浦安市の一部で震災後、大潮の干潮時になっても干潟が姿を現さなくなった。 市川市では、漁業関係者への聞き取り調査などの結果、「地震の揺れで海底の砂が締まったか、津波の引き波で砂が削られたか、その両方も考えられる」としている。また、「アサリなど漁場への影響も心配」と、県に正確な水深の測量を要望する考えだ。 三番瀬は東京湾最奥部の浦安、市川、船橋、習志野市沿岸に広がる約1800ヘクタールの浅瀬。
現存する三番瀬は、新浦安の埋め立て地の東沖に位置する、江戸川(江戸川放水路)の河口付近の干潟および浅海域を指し、船橋市、市川市、浦安市、習志野市の沿岸に接する。
東端には船橋航路や千葉港があり、西端には猫実川河口や新浦安駅付近の埋立地が広がる。埋立が進む以前は、より西側の旧江戸川河口付近まで干潟や浅海域が広がっていた。
旧江戸川から供給される土砂によって、旧江戸川河口一帯の前置斜面の前浜干潟および浅海域に広く干潟や浅海域が形成され、現在の三番瀬は、その一部が埋め立てを免れて現存している状態である。
江戸川(江戸川放水路)河口の沖合いにある深さ6.5mの市川航路によって中央部で分断されており、東半分を「船橋側」、西半分を「市川側」と呼ぶこともある。
東西5700m、南北4000mの範囲に広がっており、水深1m未満の面積は約1200ha。水深5mまでの海域を含めると面積は約1800haに達する。
千葉県企業庁によれば、以浅の範囲は陸岸から沖合3~4kmの広い範囲にまで広がっており、海底勾配は1/1000程度と非常に緩やかな勾配で傾斜している。
現在、大潮時に干出する面積はそのうち140haであり、かつての干出域が地盤沈下したものと考えられる。
なお、三番瀬の付近には、谷津干潟や行徳湿地(行徳鳥獣保護区・行徳近郊緑地特別保全地区・市川野鳥の楽園・宮内庁新浜鴨場)などの干潟や水辺などが散在する。
三番瀬は、木更津市の盤州干潟、習志野市の谷津干潟と並び、東京湾奥部における数少ない干潟・浅海域であるため、魚類をはじめとする海の生物や鳥類の貴重な生息地であると考えられている。
少なくともこれまで魚類101種、鳥類89種、底生生物155種、プランクトン302種、合計647種が確認されている。
そのため、環境省が選定する「日本の重要湿地500」の一つに選定されている。 特に鳥類については、渡り鳥の重要な中継地と考えられており、キアシシギ、ハマシギ、オオソリハシシギ、メダイチドリ、スズガモ、コアジサシなどの四季折々の渡り鳥が休息や採餌のために三番瀬を訪れる。
全国的に珍しいとされるセイタカシギは、1990年代以降、三番瀬周辺でよく見ることができるようになった。
これらの鳥類は近接する谷津干潟と三番瀬の間を頻繁に往復しており、両者がこれら鳥類の生存に関して補完的な関係にあることが示唆されている。
魚類などについても、三番瀬は産卵場として機能するほか、幼魚・幼生が成魚・成体に育つ場所(いわゆる「ゆりかご」)としての役割を担っているとされているため、三番瀬は東京湾全体の生物の消長にかかわる場所であると考えられている。
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