菅直人首相は23日、フランス・ドービルで26日に開幕する主要国(G8)首脳会議の冒頭で、設置可能な全てのビル、住宅に太陽光パネルを設置する構想「サンライズ計画」を表明する意向を固めた。福島第1原発事故を踏まえ、太陽光や風力、バイオマス(生物資源)などの再生可能エネルギーを重視する姿勢をアピールするのが狙いだ。太陽光パネル普及の2030年までの数値目標についても明言する方向で調整している。
計画には、太陽光発電のコストを20年には現在の3分の1に、30年には6分の1まで引き下げることを盛り込む。植物などを燃料とするバイオマスについても、20年代の本格導入を目指すと強調する方針だ。
首相は10日の記者会見で、30年までに原発の総電力に占める割合を50%以上にするとした従来のエネルギー政策を見直すと明言した。ただ、フランスや米国が原発推進を掲げていることを踏まえ、サミットでは原発比率の方向性には踏み込まず、再生可能エネルギーの重要性を指摘するだけにとどめるとみられる。
冒頭発言では、原発の安全性を確保した上で「持続的で安定的な原子力利用を目指す」ことも表明。原発事故の状況や放射性物質の拡散に関する情報提供を迅速に行うと約束するとともに、日本産品の安全性を訴えることで国際的な風評被害の払拭を図る。
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